100キロ超級の絶対王者に立ち向かう、原沢久喜の挑戦
この階級は、日本人が苦手とする階級だといわれてきました。体格的にどうしても一回り小さい日本人の特性ゆえ、この階級にはいつも欧州勢などが幅を利かせる傾向があります。
もちろん井上康生選手など、過去にはこの階級でスターになった人たちもいますが、全体的にやはり日本人は軽量級の方で強さを発揮してきました。
リオ五輪で100キロ超級の代表に選ばれた日本中央競馬会所属の原沢がこの階級の新たなスターになることができるのか、今注目されています。

原沢久喜
プロフィール 身長:191cm 実績 ワールドマスターズ |
このクラスの絶対王者、リネール
前回のロンドンオリンピックの覇者は、フランス代表のテディ・リネールです。2007年から世界選手権を8連覇するなど、この階級の絶対王者とも呼ばれています。

現在世界ランキングで原沢は2位につけていますが、その上にいる第1位がこの男なのです。しかも僅差などではなく、500ポイント以上の差をつけられているのが現状です。
では原沢、リネールに勝つチャンスはないのかというと勿論そうではありません。
まず当然のことですが、リネールも完璧な人間ではなく、特に優勝候補筆頭と言われていた北京五輪の時にも相手を攻めきれずに序盤で敗戦、結局銅メダルの獲得に終わっています。
また原沢自身、リネールと練習をしたときに「まったくかなわない相手ではない」という感触を得たと語っており、やる前の準備と情報収集次第では勝てるという感触を得ています。
こういった勝負ごとの時に最大の弱点となるのが相手への苦手意識と言われており、その点原沢はリネールにまったくこの意識を持ってはいません。
まず何より、いまだリネールと練習時以外で戦ったことがないのです。リネールをどこまで追い詰めることが出来るのか、オリンピックの舞台で楽しみにしましょう。
原沢の武器、冷静さ
原沢の最大の武器は、勝負師としてのその性格だと言われています。
格闘家として熱い気持ちは勿論大事ですが、それ以上に彼はどんな時でもその熱さをコントロールすることができる冷静さを持ち合わせています。
そのため、同じ失敗を二度繰り返さない、試合中でも冷静に流れを読んだプレーができる、そしていつでも無心で試合に打ち込めるのです。
100キロ超級には彼の他にも何人かオリンピックの候補として活躍していた人がいて、発表される最後の最後まで誰が選ばれるかわかりませんでした。

それぞれが切磋琢磨し、そして国内大会でも何度も戦っていた相手です。その中で、出場した国際大会で7連覇を果たした実績を買われて今回選ばれた原沢選手。
100キロ超級の新たなスター候補として、是非ともオリンピックで活躍してほしいものです。