フィギュアスケートの試合で一般的にステップと言われているのはステップシークエンスのことです。
ステップシークエンスはターンやステップを組み合わせ、連続して行うものです。
ターンやステップを見分けるのはジャンプの種類や回転数を見分けるよりはるかに難しいです。
私はいまだに演技を見ながらターンやステップの技を直ちにコールすることなんて出来ません。
とても難しいですが、ステップシークエンスを構成するターンやステップの種類や採点方法を見ていきたいと思います!
Contents
主なターンの6種類
主なターンの種類は次の6種類です。
・カウンター
・ロッカー
・ブラケット
・ループ
・ツイズル
ブレードにはアウトサイドエッジとインサイドエッジがあります。
足の小指側がアウトサイドエッジで、親指側がインサイドエッジです。

左足のアウトサイドエッジにブレードを傾けて前進すると軌道は「 )」ですね。
左足のインサイドエッジにブレードを傾けて前進すると軌道は「( 」ですね。
右足や後進の場合も同様に考えてみてください。
以上のことをふまえて見ていきます。(左足・左回りで始めた場合です)
スリーターン

軌道が「3」の形になるためスリーターンと呼ばれます。
左足のアウトサイドエッジで前進し、180度反時計回りに回転して方向転換し、後進のインサイドエッジに乗るターンです。
カウンター

軌道は「S」になります。
前進アウトサイドエッジから進行方向とは逆の時計回りに方向転換し、後進アウトサイドエッジに乗るターンです。
左回りだった軌道が右回りの軌道に変わりますのでS字を描きます。
ロッカー

カウンターと軌道は同じですが、方向転換する際は反時計回りです。
ブラケット

軌道が「 }」の形になることからブラケットと呼びます。
スリーターンと同様、同じカーブに乗りますが、進行方向とは逆の時計回りに方向転換します。
ループ

軌道のカーブの内側に小さな円を描くように1回転します。
一か所でクルッと1回転したらループです。
ツイズル

スリーターンを連続で早く回転させたものです。
ステップシークエンスの時に片足でよくクルクルと回っているターンです。
主なステップの6種類
主なステップの種類は次の6種類です。
・シャッセ
・モホーク
・チョクトー
・クロスロール
・チェンジエッジによるカーブ
トウステップ
ブレードのつま先部分を使うステップです。ちょんと突いて移動するような動きがトゥステップです。
シャッセ
同じカーブ上に滑っている足の横に次の足を置いて踏み変えます。 すり足のような動きです。
モホーク

同じカーブ上で足を踏み変えて方向転換します。 エッジはインからインまたはアウトからアウトに乗ります。
チョクトー

チョクトーもモホークと同様、足を踏み変えて方向転換します。
方向転換前後で異なるカーブ上に乗ります。 エッジはインからアウトまたはアウトからインに変わります。
クロスロール

左足のアウトサイドエッジに乗り、右足をクロスして踏み変えます。右足をアウトサイドエッジに乗り変え、左足をクロスして踏み変えます。これを繰り返します。
チェンジエッジによるカーブ

エッジをインサイド→アウトサイドに変えることによってカーブします。
ステップシークエンスのレベルとは?
ステップシークエンスではレベルに応じて基礎点があらかじめ決められています。
レベルの基礎点+出来栄え点(GOE)でステップの得点になります。
レベル要件
1) 難しいターンおよびステップが、最低限に多様 (レベル1),やや多様 (レベル2),多様 (レベル3)、複雑(レベル4)である。(必須要件)
2) 完全に体が回転する左右への回転。各回転方向とも全体でパターンの1/3 はカバーすること。
3) パターンの1/3 において身体の動きを使っている。動きが体幹のバランスに影響を及ぼしていること。
4) 明確なリズムで実行する難しい3 個のターンの組み合わせ、各足で異なるものを1 つずつ。
必須要件の説明
レベル1
最低限に多様:少なくとも5 個の難しいターンおよびステップを含み、どの種類も数えてよいのは2 個まで
レベル2
やや多様:少なくとも7 個の難しいターンおよびステップを含み、どの種類も数えてよいのは2 個まで
レベル3
多様:少なくとも9 個の難しいターンおよびステップを含み、どの種類も数えてよいのは2 個まで
レベル4
複雑:少なくとも11 個の難しいターンおよびステップを含み、どの種類も数えてよいのは2 個までであり、5 種類は両方向で行われなければならない
※難しいターンおよびステップとは「ツイズル、ブラケット、ループ、カウンター、ロッカー、チョクトー」のことです。

ステップのレベルはレベル1からレベル4に判定されます。
レベル要件をいくつ満たしたかによって難度レベルが変わり、レベル4が最高得点となります。
レベル1は1個、レベル2は2個、レベル3は3個、レベル4は4個満たしたということになります。
レベル別の基礎点
レベル2:2.6点
レベル3:3.3点
レベル4:3.9点
ステップシークエンスのGOEとは?
GOEは、複数のジャッジ(最大9名)が要素の出来栄えを-3から+3までの7段階で評価します。
プラス面
以下の項目の該当数によってそれぞれのジャッジが評価し、最高値と最低値を除いた平均値で算出されます。
+1は2項目 +2は4項目 +3は6項目またはそれ以上
2) シークエンス中のスピード,またはスピードの加速が十分
3) シークエンス中に様々なステップを用いている
4) 深いはっきりとしたエッジ(全てのターンの入りと出を含む)
5) 全身が関わり十分にコントロールされた正確なステップを維持
6) 独創的でオリジナリティがある
7) 開始から終了まで無駄な力が全く無い
8) 要素が音楽構造を高めている
マイナス面
エラーに対する引き下げ
2)ステップ、ターンを行っているのがパターンの半分に満たない・・-2から-3
3)ステップやターンの質、姿勢が拙劣・・-1から-3
4)つまづき・・-1から-2
5)音楽に一致していない・・-1から-2
6)半回転を超えるジャンプが含まれる(SP)・・-1
注)ステップシークエンスのパターン:ステップシークエンスは,はっきりと認識できるものであり氷面のほぼ全体を活用して行われなければならない。
GOEは-3から+3で評価しますが、この数字がそのまま点数になるわけではありません。
+3 | +2 | +1 | -1 | -2 | -3 | |
レベル1 | 1.5 | 1.0 | 0.5 | -0.3 | -0.6 | -0.9 |
レベル2 | 1.5 | 1.0 | 0.5 | -0.5 | -1.0 | -1.5 |
レベル3 | 1.5 | 1.0 | 0.5 | -0.7 | -1.4 | -2.1 |
レベル4 | 2.1 | 1.4 | 0.7 | -0.7 | -1.4 | -2.1 |
このようにレベル別にGOEで得られる点数が決まっています。
例えば、レベル4でGOEが+3だった場合はステップシークエンスの得点は3.9+2.1=6.0点ということになります。
ターンやステップの種類や採点方法を見てきましたがいかがでしたでしょうか。
選手たちは1つのプログラムを滑っている間、一瞬たりとも気が抜けません。
その上に毎日この細かい採点方法に沿った練習をしています。
本当にどの選手も悔いなくこのオリンピックシーズンで力を発揮してもらいたいと切に願っています。